高齢者でも住宅ローンの審査に通る?何歳までOK?

高齢化社会の進展とともに、単身や夫婦だけで生活する高齢者世帯が増えてきました。高齢になっても安心して生活できる住まいの確保が深刻な社会問題となりつつあります。

収入源が年金だけになってしまうと賃貸マンションの審査に通りにくく、マイホーム取得を考え始める人も多いものです。

このときはじめて、高齢者でも住宅ローンに通るかが不安になります。住宅ローンの契約可否と何歳までなら審査に通る可能性があるのかを考えてみましょう。

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住宅ローン契約をする高齢者は増加傾向

住宅金融支援機構公表「2017年度のフラット35利用者調査」によると、フラット35契約をして住まいを取得する人のうち50代以上の占める割合は17.8%にものぼります。

マンションにいたっては50代・60代の占める比率が26.6%。契約者のうち4人に1人は50代以上ということになります。物件別に各年代の占める割合をまとめたものが以下の表です。

30歳未満 30代 40代 50代 60代
注文住宅 11.4% 39.5% 23.4% 13.5% 12.3%
土地付注文住宅 18.7% 50.7% 20.4% 6.3% 3.9%
建売住宅 15.8% 44.1% 25.8% 8.6% 5.7%
マンション 10.2% 36.4% 26.9% 16.2% 10.4%
中古戸建 9.8% 34.2% 33.6% 14.8% 7.6%
中古マンション 11.1% 36.5% 31.3% 14.8% 6.3%
全体 14.3% 42.9% 25.1% 10.8% 7.0%

 

この調査結果が公表されたときには「マンションの購入者に占める60代の比率がはじめて1割を超えた」と大変話題になりました。50代や60代から注文住宅や新築マンションを買う人も多い様子を見ると、老後の夢が広がりますよね。

退職金に自己資金をプラス、足りない分を住宅ローンでまかなって、マイホームを取得する選択肢も現実的なものとなっています。

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何歳までなら審査に通る?住宅ローンの年齢制限

高齢者と聞いたときに何歳を想像するかは、個人の価値観次第です。65歳を基準に考える人もいれば、70歳や75歳を想像する人もいることでしょう。具体的に何歳までなら住宅ローンの審査に通る可能性があるのかを一覧表で見ていきます。

【金融機関別】住宅ローンの年齢制限一覧表

金融機関のホームページや住宅ローン約款を調べれば、年齢基準がはっきりします。どこも同じくらいと思いきや金融機関ごとにかなりの開きがあるので、思い込みで申込むのはリスクです。主要金融機関の申込時・完済時の年齢制限は、以下のようになっていました。

金融機関名 借入時の年齢制限 完済時の年齢制限
三菱UFJ銀行 20歳以上70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
みずほ銀行 20歳以上71歳未満 81歳未満
三井住友銀行 20歳以上70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
りそな銀行 20歳以上70歳未満 80歳未満
新生銀行 20歳以上65歳以下 80歳未満
ろうきん 20歳以上 76 歳未満
ARUHI 80歳未満 80歳未満
楽天銀行 65歳6ヶ月未満 80歳未満
住信SBIネット銀行 20歳以上65歳以下 80歳未満
イオン銀行 20歳以上71歳未満 80歳未満
じぶん銀行 20歳以上満65歳未満 80歳の誕生日まで
ソニー銀行 20歳以上65歳未満 80歳の誕生日まで

 

少し前までは「高齢者の住宅ローンといえばフラット35」というのが通説でしたが、昨今の世相を反映し、民間の金融機関でも柔軟な対応をとっています。

フラット35のような固定金利の住宅ローンだけではなく、金利タイプや付随サービスを比較しながら、自分に合う商品を選択できる時代です。

申込時年齢・完済時年齢は簡単にチェックできるので、今の自分がスペックを満たしているかを調べてみましょう。該当するものの中から返済期間や借入可能額などほかの条件を満たす住宅ローンを選択、申込をおすすめします。

住宅ローン完済時年齢80歳が重要な節目

住宅ローン申込のデッドラインを考えるときに注目したい数字は、完済時年齢の80歳です。80歳を過ぎると団信の保障が切れてしまって、貸し倒れリスクが高まります。

貸す立場としてはリスクが高い契約は避けたいことから「80歳未満」や「81歳の誕生日まで」といった基準が設定されるというわけです。

契約時年齢の上限に70歳が目立つのも、同様の理由でしょう。団信の申込年齢が70歳に制限されるケースが多いことから、それ以上の年齢の人からの申込を受付けません。

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50代で家を買う!住宅ローンの組み方や注意点は?

50代からマイホーム取得を目指すとして、購入予算の計算から住宅ローンの選び方、審査通過率を高めるためのポイントなど、一連の流れを見ておきましょう。

購入予算を計算する

50代ともなると、老後の住まいを確保するための資金を貯めてきた人も多いはずです。物件の購入予算は、預貯金+借入可能額で計算できます。

借入可能額は、毎月の返済額と返済期間から逆算しましょう。毎月の返済額を決める際には、定年退職後も無理なく返せる金額の範囲とします。

完済時年齢から今の年齢を引いたものが返済期間。完済時年齢に金融機関ごとの縛りがあることは先に説明した通りですから、遅くとも79歳までには完済する計画で設定します。

さて、ここまでをいったんおさらいです。50代でマイホーム取得を考えているAさんを例にあげ、具体的な計画例を示します。

◎Aさんプロフィール
年齢:55歳
現職:建設会社勤務・正社員(部長)
預貯金:1750万円 ※全額ではなく、1,000万円だけを頭金に充当予定。
年収:600万円

毎月の返済可能額は、返済負担率から計算します。働き盛りの世代では25~30%くらいが目安ですが、年金生活に入っても返済を続けることから20%くらいに設定しました。

600万円×0.2÷12ヶ月 = 10万円

ここまで計算したところで、年金生活になったとき【10万円】の返済に無理がないかを考えます。定年退職年齢が60歳・年金の支給開始が65歳だったら、無収入になる5年間も何らかの手段で返せる見込みがたっていないと、マイホームを購入するのはリスクです。

Aさんは両方クリアできたと考えて、話しを先に進めましょう。80歳まで返済を続けるなら80歳−55歳で25年となりますが、住宅ローン契約や物件選びに時間がかかることも考慮して【20年】と仮定しました。

ここまでいけば、金融機関が提供しているシミュレーションツールから借入可能額を計算できます。今回は、住宅保証機構が提供しているツールを使って、以下の条件で試算しました。

◎借入条件
返済方法:元利均等返済
返済期間:20年
当初金利:2.00%
月額返済額:10万円
ボーナス返済:なし

◎試算結果
借入可能額:1,976万円

住宅保証機構 シミュレーションツール

借入可能額と自己資金を足すと1,976万円+1,000万円で【2,976万円】。これを全額予算に回してよいわけではなく、契約手数料や諸費用分を差し引きます。大まかな目安として、物件価格の1割程度と考えるのがよいでしょう。

Aさんは、ざっくり3,000万円の物件に対してなので【300万円】を確保しました。2,976万円から300万円を引くと【2,676万円】。これでようやく購入予算が決まったので、先のステップに進めます。

住宅ローン選びのポイント

住宅ローンを選ぶ際には、2つのポイントに注目しましょう。まずは、選べる団信の種類です。50代ともなると、高血圧や動脈硬化、呼吸器系の疾患など、何らかの病気を指摘される人は多いものです。

健康診断で「精密検査が必要」といわれただけでも団信の審査に通らないケースはあって、住宅ローンが組めません。一部の金融機関では、健康面の不安があっても加入できるワイド団信を扱っています。どこの金融機関でも扱っているわけではないため、審査状態に合わせた選択が必要です。

次のポイントは金利タイプ。50代から住宅ローンを組むとしたら、固定金利の商品が安心でしょう。年金生活に入った後に返済額が一気に増えると、支払いが苦しくなって、ローン破綻するリスクが高いためです。

ただ、固定金利の住宅ローンは、変動金利より総返済額が高くなるデメリットが伴います。自己資金が潤沢にあって「金利が上がったときには一気に繰上げ返済しても大丈夫」という状況だったら、変動金利を選択するのも「アリ」でしょう。

高齢者が審査通過率を高めるためには?

高齢者が住宅ローン審査に通るには、現実的なプランがものをいいます。定年退職までの年数や年金支給開始年齢と見込み金額、退職金による繰上げ返済など、今後の「稼ぐ力」を現実的に試算して「返せるプラン」を建てることが大切です。

30代や40代で教育ローンマイカーローンを組んだ人は完済している状態でないと、住宅ローンの審査結果に影響します。

住宅ローン以外の借入は現役世代でもシビアにチェックされる部分なので、高齢者ならなおのことネガティブな印象になってしまうのが現実です。

両親の介護や親戚づきあいでお金が出ていくことも多い世代だけに、甘い見通しは避けたいところ。厳しいことをいうようですが「借金はゼロ。

まとまった金額の頭金も用意できた」という状態になってようやく、マイホーム取得を検討できるくらいに考えましょう。

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60代から利用できるリバースモーゲージ型住宅ローン

定年退職を迎えて年金生活に入ったら、一般的な住宅ローンの活用が難しくなってしまいます。フラット35など一部の住宅ローンなら年金収入だけの人も申込資格を満たすのですが、返済負担率から計算した契約可能額は一定までに制限されることから、希望通りの金額が借りられるとは限りません。

そこで検討したいのがリバースモーゲージ型住宅ローン。借りたお金でマイホームを取得し、契約者の生存中は利息だけを支払って、亡くなったときに土地と建物を売却することで残債務を完済する仕組みです。

このタイプの商品で主流になっているのは、住宅金融支援機構の保険を活用したもの。満60歳以上を対象にした「リ・バース60」を活用するため、高齢者だけが検討できる特殊な商品とされています。

60歳以上でも約4割はローン審査に通る

住宅金融支援機構が公表しているリ・バース60の実績値を参照すると、2017年度に申請があった174件のうち、審査に通ったのは68件。2016年から取り扱いを始めた新しい商品だけに申込数が多いとはいえないものの、約4割は審査に通ったことになります。

申込者の属性は、平均年齢72歳・平均年収330万円とされていました。60%は年金受給者とされていて、一般的な住宅ローンでは審査落ちするリスクが高い人がメインです。

審査通過率を高めるためには?

リバースモーゲージ型住宅ローンは、担保評価がものをいいます。売却して現金化できないと金融機関が損することになるため、不動産の需要が高いエリアにあって、値下がりしにくい物件ほど有利です。

利用者実績を見ても、神奈川県や千葉県、東京都、愛知県など、不動産需要が高いエリアに密集していることが分かります。10年後や20年後でも一定の価値を維持できる物件を選ぶことが審査通過率を高めるコツです。

子と同居する住宅なら親子リレー返済を検討しよう

リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を引き継ぐ子がいない場合に有効な選択肢です。子と同居している高齢者が本人名義の住宅ローンを組みたい・審査が不安という場合なら、親子リレー返済を検討できます。

親子リレー返済とは、子や孫など一定の条件を満たす後継者と一緒にローンを組み、2世代に渡って返済を進める商品です。親の年齢ではなく子や孫の年齢をもとに返済期間を設定することから、無理ないペースの計画を建てられます。

親子リレー返済の申込条件

親子リレー返済では、契約者・後継者のそれぞれの申込条件が決まっています。フラット35で後継者になれるのは、契約者の子もしくは孫など直系卑属とその配偶者の中で定期的な収入がある人です。

複数の後継者をたてることはできず、1人だけに限定されます。後継者をたてることで契約者の年齢条件は外れるので、71歳以上でも大丈夫です。年金も収入の範囲に含まれますから、現役時代にきちんと支払いを行って、一定額を受け取っている人だったら、契約できるチャンスはあります。

親子リレー返済の注意点

後継者が独身のうちに契約すると、結婚して自分自身の住宅ローンを組みたいと思っても、難しくなってしまいます。

本人とよく話し合い、納得がいく選択が大切です。兄弟のうち1人がリレー返済を担当するとして、誰にお願いするのかも大事なポイントになってきます。

倫理的に考えれば、リレー返済を担当した人が両親のお世話をして、看取った後に実家を引き継ぎ・お墓を守っていくのが自然な流れといえるためです。

高齢者の住宅ローンは、審査難易度や契約可否だけではなく、家族のライフスタイルや介護、相続など、総合的な問題を見据えたうえでの判断が求められます。子どもや妻とゆっくり話す時間をとり、望ましい形を考えてみましょう。

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