教育ローンは学生本人が契約できる?
何らかの事情で親が教育ローンを組むことができない、奨学金が借りられない、親に負担をかけたくないということから自分で教育ローンを検討している方もいるかもしれません。
この記事では、学生本人が教育ローンを契約(申し込む)してお金を借りることができるのか?民間の金融機関の教育ローンや国の教育ローンについて調べてみましたので公開します。
教育ローンは学生本人が契約できる?
民間の教育ローンでも学生本人が契約できる場合があります。メガバンク、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、労働金庫、貸金業者ではどのような条件になっているのかそれぞれ具体的にみていきましょう。(JAの教育ローンについては、各店舗ごとに利用条件が異なること、HP上では申込人の条件について公式に出されていないことから割愛します。)
教育ローンの学生本人契約「メガバンク」
三菱UFJ銀行の教育ローン
まずは、メガバンクの三菱UFJ銀行の教育ローンの申込条件についてみてみましょう。
申し込める人については、「就学(予定)者の保護者または本人(社会人に限ります)」とはっきり書かれています。
学生本人でも申し込みは可能ですが、社会人に限られているということですね。また、「年齢が申込時に満20歳以上、完済時に満70歳の誕生日までで、保証会社(㈱ジャックス)の保証を受けられるお客さま。」とされており、「前年度の税込年収(事業所得の方は申告所得)が200万円以上のお客さま。」や「勤続(営業)年数が1年以上のお客さま。」といった条件も書かれています。
もし、高校を卒業して就職して働きながら大学の教育を受けようと考えている場合でも、20歳以上でなければ申し込むこともできませんし、もし満20歳以上であっても収入や勤続年数の条件を満たしていなければなりません。
さらに、よくある質問の箇所では、
「社会人学生です。働きながら通信教育や定時制学校に通う場合の学費を、ネットDE教育ローンで申し込むことはできますか?」
「ご本人さまが、現在のお勤めを続けられる場合は、ご利用いただけます。休職、または現在のお勤めを辞めて学校に通われる場合は、ご利用いただけません。」
上記のように回答が書かれていましたので、社会人の方でも仕事を辞めてしまう場合は利用ができないということです。
教育ローンを借りて会社を辞めて学業に専念するということはこの場合できません。
三井住友銀行の教育ローン
もうひとつ、三井住友銀行の教育ローン(無担保型)を見てみましょう。
「教育を受ける方のご両親のいずれかまたはご本人さまで、お申込時満20歳以上、満65歳以下の方」
「前年度税込年収が200万円以上(個人事業主の方は所得金額)で、現在安定した収入のある方」
といったことが申し込み条件に挙げられています。
たしかに学生本人も申し込めるようです。また、社会人に限るといったことは書かれていません。とはいえ、収入について規定があるので、おのずと社会人でなければお金を借りられないということになるのではないでしょうか。
教育ローンの学生本人契約「地方銀行」
次に地方銀行についてみていきます。例として愛知銀行、横浜銀行、常陽銀行の教育ローンをご紹介していきます。
愛知銀行の教育ローン
申し込める人については
対象となる学校などに入学が決定、もしくは在学中のお子さまを扶養する親権者または後見人である方および入学が決定、もしくは在学中のご本人
と書かれているので、学生でも申し込むことはできそうですね。ただし、
お申込時の年令が満20歳以上で、完済時満75歳以下の方や安定継続した収入がある方
といった条件も書かれているので、20歳以上で安定継続した収入を得ている学生でなければ申し込みはできません。安定継続した収入がどの程度のことをさすのかについてははっきりと明かされていませんが、返済能力があるとみなされる程度の収入を確保できていないと借りることは難しいと思われます。
横浜銀行の教育ローン
利用の条件として
「お借入時点の年齢が満20歳以上で、最終ご返済時の年齢が満70歳未満の方」
「安定継続した収入のある個人の方」
と書かれており、学生本人がお金を借りられるかどうかについては書かれておりません。
安定して継続した収入のある20歳以上の学生であれば利用できるかもしれませんが、学生も申し込めると書いていない点を考えると積極的に利用をOKしているわけではなさそうです。
常陽銀行の教育ローン
利用できる人は
「大学・短大・各種専修学校・高校・中学校・小学校・幼稚園・保育園などにご進学、または在学する学生の保護者の方」
「申込み時年齢20歳以上65歳未満で、完済時71歳未満の方」や「同一勤務先に1年以上勤務または同一事業を3年以上営業している方」
と限定されており、年齢や勤続年数についての規定も設けています。学生の保護者のみ利用できる教育ローンになっており、学生のがお金を借りることはできません。
教育ローンの学生本人契約「ネット銀行」
住信SBIネット銀行の教育ローン
住信SBIネット銀行の場合、申し込める人の条件には
「申込時年齢が満20歳以上、完済時満70歳未満であること」
「原則として安定継続した収入があること」
などが記載されており、学生本人が申し込めるかどうかは記載されていません。また、収入に関しても「原則として」と付け加えられていることから、安定継続した収入がなくても利用できる例外が存在する可能性もあります。
借入額が10万円から利用可能なので、もし、少額であれば20歳以上の学生でアルバイトなどの収入を定期的に得ていれば、お金を借りられるかもしれません。
楽天銀行の教育ローン
もう一つ例として楽天銀行を見てみると、
「お借入時の年齢が満20歳以上満62歳以下」
「大学へのご入学または在学されている学生と生計を一にする親族の方、または学生ご本人さまで安定した収入のある方」
とされています。
一方、よくある質問に掲載されていた連帯保証人を誰にすればよいかという質問では
「お申し込みされる方が未成年または成人だが安定収入がない方の場合は保護者の方を指定ください。」
※
と書かれていました。結局、未成年でも借りられるのかどうかはっきりしないため、楽天銀行のチャットサービスで問い合わせてみたところ、「わかりかねますので、お電話でカスタマーセンターへお問い合わせください」との回答でした。
電話で確認する前に、ためしに申込みフォームを開いてみたところ、お申込み区分者が「学生と生計を一つにする親族」「学生本人(成人・安定継続収入あり)」のどちらか選択式であったため、学生でも成人かつ安定継続収入がある人でなければ申し込むことができないことがわかりました。
収入金額についてははっきりと規定されていませんし、住信SBIネット銀行と同様に10万円から借り入れが可能です。
これらのことを考えると、成人でアルバイトなどでも継続して安定した収入を得ていれば少額なら学生本人が利用することも可能かもしれません。
教育ローンの学生本人契約「信用金庫」
つぎに、信用金庫について2つのパターンをみていきます。
さわやか信用金庫の教育ローン
まず、さわやか信用金庫の場合です。学生の申し込みについては可能とも不可能とも書かれていませんでしたが、他の金融機関と同様に
「年齢満20歳以上の個人の方」
「安定継続した収入がある方」
といった条件がありました。年齢や収入に関する条件を満たしていれば学生でも申し込みは可能かもしれませんが、大々的に学生でも借りられると書いていないところを考えると信用金庫側も学生に貸すということをあまり想定していないのではないかと考えられます。
東京東信用金庫の教育ローン
もう一つ別の信用金庫もみてみましょう。東京東信用金庫の例です。
「子弟を扶養する親権者・親族の方等」
「満20歳以上の方」
「安定継続した収入のある方」
とされています。「親権者・親族の方等」の「等」が気になるところですが、「子弟を扶養する」と前置きされていますので学生本人の申し込みはできないと考えられます。
教育ローンの学生本人契約「労働金庫」
次に、労働金庫の場合を見てみましょう。ここでは、中央労働金庫の例を挙げます。
労働金庫の場合、金利の利率やタイプなどが申込人によって異なりますが、次のどれかに当てはまれば労働金庫を利用できます。
①団体会員の構成員の方:中央労働金庫に出資している労働組合、国家公務員・地方公務員等の団体、勤労者のための福利共済活動を目的とする団体で一定の条件を満たすものの構成員の方
②生協会員の組合員および同一生計家族の方:中央労働金庫に出資いただいている生協のうち、生協組合員融資制度を導入している生協の組合員および同一生計家族の方
③一般の勤労者の方:関東1都7県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨)に居住、またはお勤めの方で上記の2つに該当しない方
さらに、教育ローンの申込みに関しては、
「満18歳以上で 最終ご返済時が満76歳未満の方(未成年の方は、法定代理人(親権者)の同意が必要となります)」
「安定継続した年収(前年税込み年収)が150万円以上ある方」
「同一勤務先に1年以上勤務している方(自営業者等の方は原則3年以上同一事業を行っていること)」
中央労働金庫HPより引用
http://chuo.rokin.com/loan/edu_loan/term.html?=edu3
http://chuo.rokin.com/loan/app/app_mutanpo.html
という条件を満たしている必要があります。
労働金庫の性質が
「労働組合や生協などのはたらくなかまがお互いを助け合うために資金を出し合ってつくった、協同組織の金融機関」
であることからも想像できますが、労働金庫を利用できるのは働いている人やその家族が対象となるようです。
18歳以上なら親権者の同意があれば申し込むことができるという点で、ほかの金融機関と比べると間口が広いように感じますが、収入や勤続年数の条件もあるので、高校を卒業したての社会人がすぐに申し込んで借りられるものではないということがわかります。
教育ローンの学生本人契約「貸金業者」
次に貸金業者の教育ローンについてみていきましょう。
セディナの教育ローン
三井住友フィナンシャルグループに所属するセディナの場合、申し込める人については
「ご入学または在学されている学生の保護者さまで安定した収入のある方または学生本人(有職者に限ります)」
とされていますので、学生でも仕事をしていれば申し込みは可能なようです。
年収や勤続年数などの条件については記載されていませんが、ただし、学生本人が申し込む場合は保護者を連帯保証人にする必要がでてきます。
ジャックスの教育ロー
もう一つ貸金業者の例としてジャックスの教育ローンについてみてみると、申し込みができる人は
「入学予定または在学する学生の親権者かつ安定収入のある方」
とされており、学生本人の申し込みはできないようです。
すべての金融機関について調べたわけではありませんが、今回調べたメガバンク、地方銀行、信用金庫、労働金庫のどれもが「保証会社の保証を受けられる方」ということを申し込み条件に掲載していました。
また、地方銀行や信用金庫、労働金庫の場合は、その金融機関が管轄しているエリアに住んでいるかそのエリアに勤めていることが利用の条件として挙げられています。
教育ローンの学生本人契約「国の教育ローン」
国の教育ローンを提供している日本政策金融公庫のHPによると
ご両親のうち、主に生計を維持されている方にお申込人になっていただいておりますが、例えば、成人されており、勤務収入などの安定したご収入があって、独立して生計を営んでいらっしゃる方であれば、学生ご本人がお申込みいただける場合もございます。
独立して生計を営んでいるということを考えると、社会人として収入を得つつ大学などで勉強をする学生であれば申し込みが可能と考えられます。
教育ローンは学生本人が契約できる?「まとめ」
学生は教育ローンを契約できないと思い込んでいませんでしたか?
たしかに、ほとんどの金融機関で安定継続した収入がない学生や20歳未満の学生は教育ローンを申し込むことができないとされていますが、よくよく考えれば返済能力や社会的信用力がない人はお金を借りられないということは学生であってもなくても同じことです。
裏を返せば、返済能力や社会的信用能力がある学生には貸してくれると考えることもできます。
なので、今回紹介したように学生であっても成人していて安定継続した収入があれば申込可能な金融機関も存在するのでしょう。
返済能力や社会的信用力がある学生像を考えると、やはり仕事をしながら大学などで学ぶ社会人ということになると思います。
もちろん、今回紹介したなかにもあったように、申込者が進学者や在学者の保護者に限られるパターンもあるので、全ての社会人学生が利用できるわけではないのですが、学生でも教育ローンでお金を借りることができる場合もあるということも覚えておいて損はないでしょう。