ミックスローンとは?メリット・デメリット

住宅ローンの金利選択に迷っていると、ミックスローンの提案を受けることがあります。

ミックスローンとはどのような商品かを理解しておかないと、契約後に後悔する事態となりかねません。ミックスローンの仕組みや商品設計、メリットとデメリットを知り、失敗しない住宅ローン選びに役立てましょう。

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ミックスローンとは

ミックスローンとは、1つの住宅に対して2本のローンを組むことです。住宅ローンはマイホームに第一順位の抵当権をつける必要があって、一般的には1つの住まいに1本のローン。

ミックスローンを活用すれば無理を可能にしてくれて、2本のローンを契約できます。ところで、なぜわざわざ2本のローンを組むのかを疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。

理由を理解するためには、変動金利と固定金利の特徴を整理しておく必要があります。

変動金利・固定金利の違いをおさらい

住宅ローンの変動金利とは、市場の金利動向に合わせて条件が変わる商品です。当初の契約条件は固定金利より有利になる可能性が高い反面で、金利上昇リスクが伴います。

理論的には、将来の金利がどこまで上がるかは未知数です。これからどんどん金利が上がっていけば、返済額が青天井になるリスクがあります。

一方の固定金利は、契約当初に決めた条件が最後まで継続する商品です。毎月の返済額が変動するリスクもなく、想定以上に家計を圧迫するリスクはなくなります。

ただし、金利低下局面でも、恩恵は受けられません。固定金利の派生として、当初数年間だけを固定金利とする商品もあります。

5年固定金利タイプ・10年固定金利タイプなどと書かれていたら、当初期間がすぎた後は変動金利に移行すると考えてください。変動金利になった後の金利上昇リスクについては、全期間変動金利と同じです。

変動金利?固定金利?迷ったときのミックスローン

将来の金利がどうなるかは分からないところが、住宅ローンの金利選択で迷ってしまう原因です。これから金利が上がっていけば固定金利が良いし、それほど変わらないようなら変動金利が良いでしょう。

プロのアナリストでも、将来の金利推移を完璧に言い当てることなどできません。そこで、どうしても決めかねるときの折衷案として検討されるのがミックスローン。変動金利と固定金利を掛け合わせることにより、リスクコントロールが可能です。

たとえば、3000万円の住宅ローンを組むとします。1500万円分は固定金利タイプを選び、1500万円分は変動金利を選ぶといった契約が可能です。

金融機関によっては、固定金利を選択している1500万円分は返済期間30年、変動金利を選択している1500万円分は返済期間15年というように、より柔軟な設計も選択肢に入ってきます。希望している組み合わせが可能かどうかは、検討段階で確認しましょう。

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ミックスローンのメリットは?

ミックスローンを活用することにより、リスクコントロールができると言いました。これこそ、最大のメリットです。全額を変動金利にしたときよりも、上昇時のリスクが軽減されます。

変動金利で30年返済、3000万円の住宅ローンを組んだとしましょう。当初の適用金利は0.6%、6年目から10年間は1.6%、残期間は1.8%になったとします。市場金利の変動によって、毎月の返済額は、以下のように変化しました。

1~5年目
適用金利:0.6%
6~16年目
適用金利:1.6%
17~30年目
適用金利:1.8%
毎月返済額 91,078円 102,649円 104,140円

 
総返済額は、36,527,812円と試算されます。では、固定金利1500万円・変動金利1500万円のミックスプランでシミュレーションするとどうでしょうか。

1~5年目 6~16年目 17~30年目
変動金利返済分 45,539円 51,324円 52,070円
固定金利返済分 50,340円 50,340円 50,340円
毎月返済額 95,879円 101,664円 102,410円

 
ミックスプランの総返済額は36,386,305円と試算されます。固定金利を半分混ぜたことによって、総返済額を14万円ほど抑えることができました。

では、もっと金利上昇が顕著になったらどうでしょうか。当初の適用金利は0.6%、6年目から10年間は1.6%、残期間は2.6%になったとします。全額変動金利での毎月返済額試算結果は、以下のようになりました。

1~5年目
適用金利:0.6%
6~16年目
適用金利:1.6%
17~30年目
適用金利:2.6%
毎月返済額 91,078円 102,649円 110,242円

 

総返済額は、37,626,103円です。金利上昇が顕著になるほど毎月の返済額は高くなり、家計への影響が大きくなります。次に、1500万円分を固定金利にしたときのシミュレーション結果を見てみましょう。

1~5年目
適用金利:0.6%
6~16年目
適用金利:1.6%
17~30年目
適用金利:2.6%
変動金利返済分 45,539円 51,324円 55,121円
固定金利返済分 50,340円 50,340円 50,340円
毎月返済額 95,879円 101,664円 105,461円

 
総返済額は36,935,455円になりました。全額を変動金利にした場合との差は70万円近く。金利上昇時のリスクヘッジとして、きちんと機能を果たしています。

さらに、総返済額の差だけではなく、毎月の返済額の変動幅に注目しましょう。固定金利をミックスすることにより、変動幅を小さく制御できています。

経済環境によって返済額が大きく変わるとリスク管理が大変ですが、一定の範囲にコントロールできれば不安を軽減できるもの。「金利変動があっても、毎月の返済額を○万円に抑えたい」といった調整弁に活用できます。

さらに、応用的な使い方として、当初固定金利×全期間固定金利を組み合わせるとどうでしょうか。

返済を初めてから数年間の返済額を一定にでき、「子供にお金がかかるうちは、リスクをとらずに返済したい」という家庭の需要にマッチします。

子供が独立するまでの期間が5年だったら当初期間が5年の商品を選択、10年だったら当初期間が10年の商品を選択、15年だったら15年というように、ライフスタイルに合わせた選択が大切です。

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ミックスローンのデメリットは?

使い方によっては有効な選択肢になるミックスローンでも、気をつけたいデメリットや落とし穴がいくつかあります。契約前に知っておきたいポイントをひと通り見ておきましょう。

諸経費が割高になる

まず何より、諸経費がかさむことです。2本の住宅ローン契約をすることになるため、金融機関に対する手数料や印紙税など、あらゆる経費が2倍になります。

諸費用の水準は金融機関によって異なりますが、かなりの金額になることも多いものです。そのまま2倍とはいわないまでも、10万円以上余計にかかることはざらにあります。

この金額を「安心料」として納得できる人ならミックスローンを活用しても良いのですが「住宅ローンを組むには、こんなにお金がかかるのか」と内訳を良く考えずに契約するのは危険です。ミックスローンを活用しなかった場合の見積りも合わせて依頼、余分にかかるコストを把握してから検討しましょう。

申込手続きや管理の手間も上乗せ

お金が余分にかかるだけでなく、書類準備や記入の手間も上乗せされます。ごく一部の金融機関が扱っているミックスプラン以外は、契約関係書類や抵当権設定が2本分必要。

ただでさえ手間がかかる住宅ローンの手続きが余計に面倒なものになり、ストレスを感じることもあります。

手間がかかるのは、契約時だけではありません。返済を始めると送付される書類も、プランごとに分けられます。いくらまで返済が終わっていて、利息をどのくらい払っているのか把握するには、集計管理が必要です。

数年経つころには、当初の目的や詳細条件を忘れてしまうこともあります。ストレスが積み重なって「なぜ、こんな面倒な設計にしたのか」ということにもなりかねません。

リスクが減る分だけメリットも減る

固定金利と変動金利を組み合わせることによって、それぞれのメリットを打ち消しあってしまいます。契約時より金利が下がったときでも、変動金利100%のローンほど返済負担が減りません。

下の概念図をご確認ください。ミックスローンは、固定金利と変動金利の中間を走っていくイメージです。固定金利を混ぜたことが変動金利のメリットを打ち消し、青色の両端矢印分だけ損していることになります。

さらに、金利上昇リスクの完璧なヘッジもできないことに注意しましょう。概念図では、ピンクの両端矢印部分。

100%固定金利にしたときよりは金利負担が重くなり、負担の増加はまぬがれません。ミックスローンはあくまでも、金利の振れ幅を小さくして、リスクを軽減してくれるだけです。

ローンに回せるお金の上限が決まっている人は、金利プランの組み合わせ比率を調整しましょう。

ミックスローンの契約ができる金融機関が限定される

全ての金融機関でミックスローンの扱いがあるわけではなく、選択肢が限定されます。また、2本の住宅ローン契約をするのに、どこかに統一しなくてはいけないところもネック。

A銀行のミックスローンを使うなら、A銀行が扱っているものから組み合わせを考える必要があります。これが、かなり大きな落とし穴。ネット銀行は変動金利のローンに強い・全期間固定金利ならフラット35が有利など、金融機関によって得意・不得意商品が別れるためです。異なる商品2つを同じ金融機関で探せば、他社と比較して不利な部分が出てきます。

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ミックスローンの活用術・上手な組み方

メリットとデメリットが分かったところで、具体的な活用術を紹介します。どんなときにミックスローンを活用すれば良いのかとどんな人におすすめしたい商品なのかを考えながら、組み方の例を見ていきましょう。

夫婦共働き世帯のミックスローン活用例

夫婦それぞれが住宅ローン契約をするペアローンでも、ミックスプランを活用できるケースがあります。夫と妻で考えが少し違って、以下のように考えていたとしましょう。

<夫>
・低金利がずっと続くとは思えない
・今のうちに全期間固定金利のローンを組むのが賢い選択なのでは?
・子供の大学卒業までは、教育費の出し惜しみをしたくない。十分な教育費を確保するためにも、自分の分のローン返済が8万円を超えると厳しい。

<妻>
・金利が上がるといっても急変動するとは思えない
・少しでも返済が楽になる変動金利でローンを組みたい。
・万が一にも金利が急激に上がるようなら、独身時代の蓄えから繰上げ返済すれば良い。

3000万円の住宅ローンを組むとして、夫2000万円・妻1000万円の負担にすると仮定します。ペアローンはそれぞれが契約者になるため、自分の考えに沿った選択が可能。夫は30年の全期間固定金利・妻は全期間変動金利で15年ローンといった具合に、お互いが納得できるタイプの商品を選択しても大丈夫です。

結婚間もないDINKS世帯のミックスローン活用例

結婚してから数年間は子供を作らず、2人の時間を大事にしたいと考える夫婦もいます。子供にかかるお金がない分だけ家計にゆとりができるので、積極的なローン返済が可能。夫婦平等にマイホームに対する費用を負担するとして、ペアローンを選択した際、以下のような組み方が考えられます。

妻:当初5年固定金利の15年返済で1000万円を借入
夫:全期間固定金利の30年返済で2000万円を借入

数年後には家族が増えるかもしれないことを考え、妻の負担分は早めに返済が終わるように、短めのローンにします。6年目からは1%適用金利が上昇すると仮定してシミュレーションした数値が以下の表です。

ローンの種類 ローン金額 返済期間 適用金利 毎月返済額
当初5年固定金利 1000万円 15年 当初5年0.68% 58,452円
6年目~1.68% 61,412円
全期間固定金利 2000万円 30年 2.05% 74,424円

 
夫婦2人だけの生活をしている間に余裕があれば、途中から変動金利に移行する妻のローンの繰上げ返済を優先するのが常套手段。利息削減効果が高い期間短縮型の繰上げ返済を行えば、子供の教育費がかさむ高等学校進学までに妻分の返済は終わります。

夫が負担している固定金利の繰上げ返済を行った方が利息削減効果は大きいのですが、リスクヘッジを考えるなら、変動金利優先です。

将来の金利がどう転んでも、夫の返済負担は一定。妻のローンを完済した後に余裕があれば繰上げ返済を考える、くらいの気持ちでいても良いでしょう。

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