ギャンブル依存症・借金依存症とは?
ギャンブル依存症と借金依存症は併発することもある依存症です。
ギャンブル依存症も借金依存症とも依存症であることを本人がなかなか自覚できないという特徴があります。そのため、気が付いたときには借金がふくれあがっていて、周囲から完全孤立してしまっていることも・・・。
ギャンブル依存症・借金依存症の症状を詳しくご紹介します。
日常的にギャンブルをやっている人や、最近、消費者金融からお金借りることに抵抗がなくなってきたなーと感じている方はぜひ読んでみて下さいね。
ギャンブル依存症とは?
ギャンブル依存症の正式な病名は「病的賭博」となります。
ギャンブルによって社会的、家庭的、経済的、精神的な問題が生じてしまい、生活に支障があるにもかかわらず、ギャンブルをやめることができない状態をさします。
ギャンブルにのめり込んでしまって、自分でコントロールできない状態ですね。
コントロールできなくなるとどうなるの?
パチンコ・スロット・競馬・競輪・競艇・オートレースなどのギャンブルは、お金を賭けて行います。
日本には公営ギャンブルもありますし、違法賭博でなければギャンブルを行うことそのものは禁止されていません。
ギャンブルはそもそも中毒性があるものなのですが、自分が気晴らしとして楽しめる範囲で行わないと生活が苦しくなったり、周りに迷惑をかける可能性もでてきますよね。
ギャンブル依存症の人は、こういった良識がわからなくなってしまっています。
どの程度の楽しみ方をすべきかなのかがわからなくなっている状態なので、ギャンブルをやりたいという衝動が強すぎて、見境なく没頭してしまいます。
もっとギャンブルにお金をつぎ込みたいのに手持ちがないという状況になると、消費者金融などからお金を借りてでも続けようとします。
しかし消費者金融にも限度があるので、複数からお金を借りている多重債務者にはお金を貸すことはしません。そうなると今度は闇金から借りてでもギャンブルを続けようとしてしまいます。
こうやって借金が絡む悪循環に陥ってしまい、周囲から人がいなくなる、家庭も崩れる、仕事を失う可能性まででてきてしまいます。
辛いのはギャンブル依存症の本人だけではない
身内がギャンブル依存症になってしまったら、家族はなかなか放っておくことができないですよね。
実際、「ギャンブル依存症問題を考える会」のアンケートによると、家族がギャンブルによる借金を肩代わりしたケースは200人中166人、そのうち1000万円以上を肩代わりした人が17.50%にものぼっています。
身内のギャンブルのために返済した1000万円が、自分の老後のための貯金だったのか、子供の教育のために一生懸命貯めたお金だったのか・・・などと想像すると本当に胸が痛くなります。
<参考>:衆議院内閣委員会配布資料(PDF) -公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会-
ちなみにギャンブル依存症になりやすいのは男性と言われています。
女性の場合は、ギャンブル依存症よりも買い物依存症になることが多く、買い物依存症と借金依存症を併発するパターンもあります。
ギャンブル依存症の特徴
ギャンブル依存症の人の特徴は、とにかく極端にギャンブルをやることです。そのため、
・ギャンブルのことが常に頭にある
・借金してでもギャンブルをする
・ギャンブルでの負けをギャンブルで取り戻そうとする
・家族や周囲に嘘をついてでもギャンブルをする
など、ギャンブルのために生活が崩れたり身内にウソをつくこともあります。
本人はギャンブル依存症とは思っていないこともあるので、周りが注意してもエスカレートすることもあります。
また、ギャンブルをしていないときは落ち着きがなく、イライラして荒っぽい行動をとったり貯金が苦手といった傾向もあります。
ギャンブルをやめたいけどやめられない
本当はギャンブルをやめたい、やめなければいけないと分かっていてもやめられないパターンのギャンブル依存症もあります。
朝方には「今日からやめよう!」と決心するのに、仕事が終わると「明日からやめるから今日で最後にしよう」と気持ちが揺れてしまい、結局ギャンブルに走って激しく後悔してしまうのです。
意志の問題もありますが、すでにギャンブル依存症状態になっていると精神論ではどうにもならなくなってしまいます。
こうなってしまうと家族にも理解されず、やめたくてもやめられない自分を追い詰めてストレスがたまり、ますますギャンブルにのめり込んでしまうという泥沼にはまってしまいます。
ギャンブル依存症診断
ギャンブル依存症の可能性を示す自己診断はネットでも可能です。
最近ギャンブルにハマりすぎかも?と不安がある場合は、ぜひ試してみて下さい。
ギャンブル依存症は治療可能?
ギャンブル依存症は再発しやすく、借金依存症を併発する場合もあります。
依存症が進行すると家庭内がギクシャクするだけでなく、命の危険、虐待、犯罪に至ってしまう可能性もある恐ろしさを本人が少しでも早く自覚することが大切です。
治療の前にまず試して欲しいのが「今日1日ギャンブルをやめてみること」です。
こういった小さな目標を設定して、徐々にギャンブルと遠ざかって回復しながら再発防止につなげていくことが大切です。
しかし、ギャンブル依存症になっていると気持ちの上ではギャンブルをやめないといけないとわかっていても実行力が伴わないこともあると思います。
そういうときは、専門機関を頼ってみましょう。
ギャンブル依存症はクリニックの専門外来で相談することも可能ですし、自助グループもあります。
家族のギャンブル依存症について相談したい場合は、精神保健福祉センターや保健所でも対応してもらえる場合があります。家族向けの自助グループもあります。
ギャンブル依存症への注意喚起
ギャンブル依存症について、関係府省庁(内閣官房、警察庁、金融庁、消費者庁、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)からも注意喚起が出ています。
ギャンブル依存症診断、回復にむけての案内、各相談窓口をまとめたお知らせが発行されていますのでご紹介いたします。
<参考>:ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ(PDF)-関係府省庁-
借金依存症とは?
ギャンブル依存症をはじめとした依存症と言われるものは、「異常なほどハマりすぎている状況」と言い換えることもできるのではないでしょうか。
借金依存症はあまり聞きなれないかもしれませんが、やはり借金に異常なほどハマっている状態と言えます。
借金にハマるはずなんかないと思いますよね?普通はそうなんです。(何が普通かという議論はとりあえずおいておきます)
借金依存症の人は、借金ができることに安心感を覚えて借金ができないととても強い不安感に襲われます。
そのため、安心感を求めて次から次に借金をしてしまうのです。
また、借金依存症の人は何かしら強いストレスを抱えている場合が多いため、ギャンブル依存症や買い物依存症と一緒に発症することも多いんです。
ストレス解消のためのギャンブルや、たばこやお酒を買うためにも借金をするようになって、借金依存症に進行することもあります。
借金に安心感があるってどういうこと?
借金依存症の人は、「借り入れ審査に通過すると安心感、自己肯定感を得られる」と言われています。
たしかに誰でもカードローンやクレジットカードの審査に通過するとホッとするものですが、借金依存症の人は「自分が認められた!」という安心感や審査に通過したことの達成感をとても強く感じて、それが快感に変わります。
お金を借りることができると、「やっぱり自分には信用があるんだ」と思い込んで、さらに借り入れを増やして安心感を得ようとします。
逆に、審査落ちしてしまうと普通の人以上に落ち込み、動揺します。
突然強い不安感に襲われて、自ら命を断ったり、犯罪行為を行うこともあります。
借金依存症患者の強い思い込み
そして、借金依存症の人に共通しているのが「自分の借金は自分で返せる範囲内で行っているので、借金依存症なんかではない。実際返そうと思えばいつでも返せるし」という強気の自信です。
本気でそう思っているので、家族や友達の忠告には耳を貸しません。そのため借金がますます増えてしまうのです。
周囲が心配して債務整理をすすめたとしても、本人はその必要性をまったく感じていないので、正に極限と言える状態にならないと話を聞きません。
そうやっている間にも借金は増えて、状況は本人にとっても家族にとっても悪い方に転がってしまいます。
借金癖から借金依存症に進行する流れ
借金癖と借金依存症は全く違うものですが、借金を繰り返していると依存症に陥ってしまうこともあります。
借金依存症の始まりは少額の借り入れ
借金依存症への第一歩は、消費者金融で10万円借りるなど、本当に少額の気軽な借金と言われています。
1度お金を借りたら2度目は精神的なハードルがグッと下がるので借りやすくなります。
そして、借入金も1度目より2度目、2度目より3度目と回数が進むにつれて大きくなりがちです。「自分はまだまだ信用があるから、もっと借りられるし返済もできる」と思い込んでいるので、金額が上がっていくんです。
お金を借りすぎている自覚もないので、限度額いっぱいまで借りたら別の貸金業者に申し込むといった多重債務も行います。
消費者金融で借りられなくなると、闇金に手を出してしまうこともあります。
相手が闇金であっても、お金を借りることができると安心感を得られてしまうんです。
しかし返済日は毎月迫ってきますし、借り入れ件数が多いほど利息も増えるので返済負担は大きくなります。
借金依存症は周囲に気づかれにくい
周囲の人に「あの人は借金癖がある」と思われることはあっても、借金依存症を心配されることはほとんどありません。
なぜなら、借金依存症そのものがあまり知られていないですし、借金を繰り返す人からは自然と人が離れていって孤立してしまうから。
また、消費者金融や銀行カードローンには連帯保証人が要らないので、貸金業者が債務者本人以外に返済を求めることがないため、家族でも依存症に陥っていることに気が付きにくいのです。
こうやって本人は無自覚、周囲は気が付かないまま借金依存症は進行してしまうことになります。
借金依存症の人の傾向
借金依存症の人には共通する傾向が見られることがあります。
お金に関することもあれば、それ以外の項目もあるので、チェックしてみて下さい。
個人間の借金も返済をしない
消費者金融などから借りたお金だけでなく、家族、友達、彼氏・彼女から借りたお金も返済しません。
お金以外に借りたものも返さない
日常生活の中で貸し借りするものってありますよね。小さいものならペンとか。女性だったらハンドクリームなどの消耗品も気軽に貸し借りするのではないでしょうか。
借金依存症の人はこういったお金以外の物も返さない傾向にあります。
貸した物もお金も返してくれない人とは一緒にいたくなくなりますよね。こうやって借金依存症の人は孤立してしまいます。
金額に関わらず欲しいものを買う。借金してまで買う
借金依存症の人は欲しいものを我慢するのが苦手な傾向にあります。そのため買い物依存症と同時に起こることがあるのです。
欲しいものがあったら、値段が高いものでもポンと買ってしまいがちで、もっと安くて良さそうなものがあるかな?などと探すこともしません。
しかし、これらは衝動的な買い物になるので、買ったものが使われることはあまりありません。
節約、倹約を一切行わない
節約・倹約といっても難しいことではないんですよ。
例えば、歯を磨いているときは水道水を止める、使っていない部屋の電気を消す、エアコンを止める、パソコンの電源を落とすなど、多くの人にとって無理がない範囲のことでも借金依存症の人は実践しようとしません。
借金と貯金を混同している
借金と貯金の混同がどういうことかというと、例えば、限度額が80万円に設定されたカードローンがあるとします。
この80万円は借金であって貯金ではありませんよね。
しかし、借金依存症の人は「80万円までは自由に使っても良いんだなー」と思い込みます。
何が問題なのか自覚していない
ここまでに挙げてきたようなことを本人に伝えて説得したとしても、一体何が問題なの?と全く自覚がありません。
さらに、生活が破綻したとしても自分だけは大丈夫、家族や周囲の人がなんとでもしてくれると思い込んでしまうこともあります。
でも実際はそんなことないですよね。
借金依存症の人が誰も手助けをしてくれないと気がつくのは最後の最後のときなんです。
そのため、ショックが大きすぎて自分で命を断ったり、犯罪行為を行ってしまうこともあるのです。
借金依存症のセルフチェック
「DA Japan 強迫的買い物・浪費・借金依存症の匿名活動相互支援グループ」が、強制的買い物・浪費・借金依存症のセルフチェックを公開しています。
<参考>:セルフチェック 20の質問 -DA Japan 強迫的買い物・浪費・借金依存症の匿名活動相互支援グループ-
この記事を読んでいる方は該当しないと思いますが、試してみて下さい。
借金依存症は治療できる?
借金依存症は完治はしませんが、治療によって進行を食い止めることは可能です。
そのためには本人の努力も必要ですし、周囲が金銭面で協力をしないことも大切です。
借金の肩代わりはしない
すでに作ってしまった借金を返済するために、家族が肩代わりすることも多いのですが、本人に代わって誰かが返済してしまうと、「やっぱり誰かが助けてくれる」「自分だけはなんとでもなる」と勘違いしてしまい、借金依存症の人が依存症の重大さを自覚することができません。
また、家族が返済を行って限度額に借り入れ可能な枠が空いてしまうと、知らない間に新たな借り入れを行ってしまう場合もあります。
自宅に何度も催促の電話やはがきが届くと辛いことと思います。
しかし、本人に借金依存症を理解してもらうためにも肩代わりしてはいけません。
自己破産で借金を清算して新たな借り入れができないようにする
まだ本人や周囲がなんとかできるような状況なら、借金依存症の人が借金できないような状況にしてしまうことが大切です。
その方法のひとつに自己破産があります。
自己破産は債務整理の中でもいちばん強力なもので、借金は0円になりますが、家を含めた財産は全て差し押さえられてしまいます。
でも、借金が0円になるなら、またお金を借りてしまうんじゃ?と思いますよね。
自己破産などの債務整理を行うと、信用情報機関に記録が残ることになります。
この記録は5年~10年間残るのですが、その間は新たな借り入れはできませんし、クレジットカードも作れません。
つまり、まっとうな金融機関はどこもお金を貸してくれなくなるんです。
こうやって強制的に借金できる環境から距離を置くことも借金依存症の治療の一環となります。
カウンセリングを受ける・自助グループに加入する
カウンセリングは依存症の治療によく用いられる方法で、落ち着いた環境の中でカウンセラーに話を聞いてもらうことで徐々に依存性を抜いていきます。
カウンセリングを受けられる施設は病院の精神科が知られていますが、精神保健福祉センター、保健所などでも相談ができます。
自助グループは、DA Japanのような民間の支援センターのようなものです。
自分のことを話したり、同じ境遇の人たちの話を聞くことで自らの状況を客観的に理解できるようになります。家族向けの自助グループもあります。
まとめ:明日は我が身の依存症
日本中どこに行ってもパチンコ屋がありますし、やったことがない人でも気軽に始められるギャンブルはどこにでもあります。
また、消費者金融からお金を借りたり、クレジットカードのキャッシング枠を使ってお金を借りることもやろうと思えば簡単にできてしまいます。
こういった借金やギャンブルがいとも簡単にできてしまう社会にいる以上、いつ・誰がギャンブル依存症、借金依存症になるかわかりません。女性は買い物依存症にも注意が必要です。
ハマりそうなことがわかっていたら、ギャンブルには最初から手を出さない、クレジットカードのキャッシング枠は外しておくなどの自己防衛を行って、自分自身が依存状態にならないように気を付けましょうね。