家族・身内に債務整理者がいるとカードローン審査に落ちる?
自分は債務整理をしたことはないけど配偶者が過去に自己破産などを行っている場合や、親が保証人になって債務整理をしたことがあるなど、家族・身内の信用情報がどこまでカードローン審査に影響するのか気になるところではないでしょうか。
身内の債務整理の影響でカードローン審査に落ちてしまうとしたら、それはどのようなケースなのでしょうか?
身内の債務整理とカードローン審査は基本的に無関係
身内に債務整理者がいる人がカードローン審査に落ちてお金を借りることができなかったとしても、借りれなかった原因は身内ではなく本人にある場合がほとんどです。
債務整理には、
・任意整理
・特定調停
・個人再生
・自己破産
の4種類がありますが、どれを実施したとしても身内の債務整理が家族のカードローン審査に影響を及ぼすことはまずないのです。
ネットの口コミで、「親が自己破産をしているから自分もカードローンの審査に落ちた」とか、「兄弟にブラックがいると消費者金融からお金を借りられない」などといったうわさ話を見かけることもありますが、カードローンの審査に落ちてしまうのは、自分の信用がないためであって家族のせいではありません。
ただし、残念なことに配偶者の債務整理に限ってはカードローン審査に影響を及ぼす例外も存在します。
身内・配偶者の債務整理とカードローン審査の関係について順番に確認していきましょう。
関連情報:債務整理すると親・家族バレする?内緒で手続きする方法
カードローン会社が閲覧できるのは申込者の信用情報のみ
信用情報は日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)という3つの信用情報機関に記録されています。
カードローン会社や保証会社は、これらの信用情報機関に照会をかけて、個人の信用情報を閲覧することが可能となっています。
ただしこのときに照会できるのは申込者本人のものだけです。家族であっても本人の許可なしに第三者の信用情報を閲覧することはできないので、身内に債務整理を行った人がいたとしてもカードローン業者の方ではわからないようになっています。
信用情報機関に登録される内容にはそれぞれ保有期限があります。
債務整理などの金融事故に関する情報は5年~10年が登録期間となります。
指定信用情報機関 | 債務整理に関する登録情報 | 登録期間 |
JICC | 入金日、入金予定日、残高金額、完済日、延滞等 | 契約継続中及び完済日から5年を超えない期間 (ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) |
債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等 | 当該事実の発生日から5年を超えない期間 (ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) |
|
CIC | ・支払状況に関する情報 報告日、残債額、請求額、入金額、入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等 |
契約期間中および契約終了後5年以内 |
全国銀行個人信用情報センター | 入金の有無、延滞・代位弁済・強制回収手続等の事実 | 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
官報に公告された破産・民事再生開始決定等 | 当該決定日から10年を超えない期間 |
類似情報が表示されるって聞いたけど?
信用情報機関には戸籍謄本にあるような続柄までは記録されていません。
記録されている内容から家族・身内と推測されるとしたら、電話番号や住所が完全一致するケースが考えられます。
これらの紐づく情報があって初めて「この人たちは身内なのかな?」と推測できるわけです。
電話番号で検索をかけたら、その電話番号を登録している人全員が一覧に表示されることは不思議なことではありません。
債務整理を行った身内と住所や電話番号が一緒の場合は、類似情報として家族の記録が一覧にはでてきます。
ただ、一覧にでてきたからといって申込者以外の情報開示を勝手に行うことはできません。情報開示の承諾がないのに開いてしまうことは本来の目的外の閲覧になってしまい、個人情報保護法に触れることもあるため問題になってしまうのです。
たとえば、電話番号が03-1234-5678の日本太郎さんが消費者金融に申込をしたとします。
信用情報を審査するために03-1234-5678で検索をかけると同じ電話番号で記録されている家族も一覧に出てくることになります。
ここで、一覧表示されたからといって日本 太郎さん以外の情報を勝手に閲覧するのは大問題となるのです。
身内の債務整理がバレるのはどこから?
身内の債務整理が信用情報機関からカードローン業者にバレる可能性はまずありませんが(これがあったら個人情報保護の観点から大問題です)、他のルートでバレてしまうことはあります。
カードローン業者の社内リストからバレる
今時、美容室でも飲食店でも顧客リストを持っていますよね。同様に消費者金融も詳細な顧客リストを作っています。
社内でこういったリストを持つことは違法でもなんでもなく、そこには借り入れ状況や返済状況、延滞情報などといった利用情報が事細かに記載されています。
社内ブラックリスト入りしている身内と電話番号や住所が同じだと、「あのブラックリストに載っている人の身内か・・・」と消費者金融側にバレてしまうことになります。
保証会社に記録されている情報からバレる
保証会社を使うのは主に銀行カードローンです。
そして銀行カードローンの保証会社となっているのは消費者金融や信販会社など、その会社そのものも貸金業を営んでいる業者である場合が多いのです。
ということは、例えばアコムで貸し倒れを起こした人の身内が、アコムが保証会社になっている銀行カードローンに申し込みをすると保証会社であるアコムにはバレてしまうことになるので警戒されてしまうことになります。
第三者提供でバレる
第三者提供とは、事業者が保有している個人のデータを他の業者などに提供することをいいます。
たとえば、消費者金融のプロミスは親会社であるSMBCグループと、子会社・提携会社を第三者提供の相手先としています。
ジェイスコアもみずほフィナンシャルグループと、子会社、関連会社と個人情報を共同利用する旨を公式サイトで宣言しています。
こういった第三者提供から身内の債務整理がカードローン業者、保証会社、銀行などにわかってしまうことがあります。
やっぱり身内の債務整理は審査に影響するのでは?
ここまでの情報で、
・金融事故を起こした消費者金融などの社内リストからバレることはある
・第三者提供からバレてしまうことがある
ということがわかりました。
でも、どこが発信源だとしても、身内に債務整理者がいることがカードローン業者にわかってしまったら審査に影響があるのでは?と思えてくるのではないでしょうか。
この答えは、本人の信用次第ということになります。
確かに身内が社内ブラック状態だと、消費者金融も警戒したくなるでしょう。
でも申込者本人の属性がしっかりしていて信用情報に傷もなければ、消費者金融も「この人ならお金を貸しても問題ない」と判断できることになります。
カードローンは保証人も担保も要りません。逆に考えるとそれだけ本人の安定した収入と返済能力が大事になってきます。
結局、審査に通過するかどうかは家族の問題ではなく本人の問題なのです。
配偶者の債務整理がカードローン審査に影響する例外
カードローンの審査に身内の債務整理ががっつり影響してしまう例外を解説します。
消費者金融の配偶者貸付けを利用するとき
配偶者貸付けは、本人に収入がない専業主婦(主夫)が消費者金融などの貸金業者からお金を借りることができる総量規制の例外措置です。
総量規制では、本人の年収の3分の1以上の金額を貸してはならないとされています。
ですので、本来なら本人に収入がない専業主婦(主夫)にはお金を貸してはいけないのですが、配偶者貸付けを利用すれば配偶者との合計収入の3分の1までなら借りることができるんです。
配偶者貸付けは収入がない本人だけではなく、配偶者の属性や信用も重要になるので、配偶者である夫や妻が債務整理者だと審査に悪影響があります。
専業主婦(主夫)が銀行カードローンを利用するとき
消費者金融には総量規制があるので、収入がない専業主婦(主夫)は配偶者貸付け以外の方法で借り入れをすることはできません。
逆に、「うちは無職で収入がない専業主婦(主夫)大歓迎!!」みたいな消費者金融があったら怪しいと思ってください。
でも、消費者金融はダメでも銀行カードローンならお金を借りることができます。なぜなら銀行は貸金業法に基づいていないので、そもそも総量規制対象外なのです。
うまく裏をついているようにも感じられますが、準拠している法律が違うだけなのでグレーでもなく完全に合法です。
ただしこの場合も収入がない専業主婦(主夫)にお金を貸すことには変わりないので、配偶者の信用情報がしっかりしていることが前提になります。
専業主婦(主夫)のカードローン審査 配偶者の信用情報も確認される?
専業主婦(主夫)がカードローン審査を受ける場合に、配偶者の収入や信用情報が重要になるのは理解できますが、信用情報機関への照会はどうなっているのでしょうか。
指定信用情報機関のCICのQ&Aによると、配偶者の同意を得た上で信用情報を回答することがあるとのことです。
Q.配偶者の情報が回答されると聞いたのですが、どのような場合ですか?
A.収入のない方がクレジット会社にローンを申し込む際に、その申込者の配偶者から同意を得たうえで、配偶者の年収をもとに審査がされます。
契約が締結されると申込者本人と配偶者の属性が登録され、回答対象となります。
とあります。
※ CIC よくあるご質問 1.情報の登録(信用情報)より引用させていただきました。
配偶者本人の同意を得たうえで信用情報を回答することはあるということですよね。
専業主婦(主夫)がクレジットカードを作るということは、その支払いは配偶者の稼ぎから行うのが普通なので、配偶者の信用情報にも確認が入るのは納得できます。
ただ細かいことですが、この回答に記載があるのはクレジット会社に限ったの話なので、消費者金融などのカードローンの場合はどうなるのかが気になります。
そこでCICに直接電話で問い合わせてみました。
回答:ございます。ここにあるクレジット会社というのは信用取引を行っている会社という意味になります。
クレジットカード会社だけでなく、消費者金融、信販系カードローン、銀行カードローンなどなど、申込先が希望すれば配偶者の同意を得た上で情報開示することがあるという回答でした。
信用情報機関には債務整理の履歴が5年~10年残ります。
収入がない専業主婦(主夫)が申込者で、配偶者に債務整理をした経緯があると、審査通過はかなり難しくなることが想像できるのではないでしょうか。
身内の債務整理とカードローン審査のまとめ
身内に債務整理者がいる場合のカードローン審査の影響についてまとめます。
・金融事故を起こした消費者金融や保証会社などの社内リストからバレることはある
・第三者提供からバレてしまうことがある
・本人に収入がない専業主婦(主夫)の申し込みは配偶者の信用情報が審査に影響する
・信用情報機関は配偶者本人の同意を得たうえで配偶者の信用情報を回答することがある
・カードローン審査の結果は自分の信用次第!
身内が債務整理をしていると「家族にブラックがいるからカードローン審査に通らない!」とつい感じてしまうこともあると思います。
でも、お金を借りられないもっと大きな原因は自分の属性と信用情報だということを理解しないと、申し込みブラック状態が続くことになります。
自分自身がブラックリストに載ったとしても、信用情報機関から「載せました!」とお知らせがくることはありません。
審査落ちする心当たりがない場合も、まずは自らのクレジットカード、各種ローンの支払い状況、スマホ本体代金の分割払いを滞納していないかなどを見直してみてください。